【書評224】六〇〇万人の女性に支持される「クックパッド」というビジネス

上阪 徹著

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究極のユーザビリティ


今年7月17日にマザーズに上場したクックパッド株式会社

ひたすらレシピを集めて、12年。


1997年創業の同社と同名のサービスサイト『クックパッド』は、
現在、月間2.8億PV、ユニークユーザー数616万人、登録レシピ数50万
という巨大サイトへと成長。


驚くべきは、その600万人にも及ぶユーザーのうちのなんと65.5%が
「毎日」利用するというから、本当にユーザーの日常生活のシーンに
根付いたサイトなんだなと思う。



2008年4月期の売上高は6億7673万円(前期比218%増)、
営業利益は3億1961万円(同283%増)、
経常利益は3億1990万円(同283%増)、
純利益は1億7606万円(282%増)。


そして、上場直後の7月22日には、
時価総額ベースで248億9000万円。


更に、8月にはなんと時価総額が400億を越えた。


世の中にメディアはゴマンとあるが、
料理のレシピという昔ながらのコンテンツを、
ユーザー自身が投稿し、また別のユーザーがそれを検索して活用するという
この超シンプルなビジネスモデルがここまでに成長した影には、
創業者の並々ならぬ努力がある。


それは、奇をてらうより当たり前のことを徹底してやる姿勢。


ITの盲点

私自身、長くIT業界にいることと、
周りに最先端のベンチャー経営者さんやクリエイターさんが多いのとで
時々ITリテラシーの一般レベルがよくわからなくなるときがある。


特に私みたいに、もともとITに強いタイプの人間じゃないと、
これくらい知ってて当たり前、
っていうか、知らないと恥ずかしい?という負い目もあってか、
最先端のテクノロジーに必死でついていこうとしている自分がいる。


でも・・・。


一部の人たちの中で情報が錯綜し、高度化、複雑化しているようでも、
大多数の一般ユーザーが求めているものは、
もっとずっとシンプルで、わかりやすいものなのかもしれない。


大事なことは、そのシンプルさが究極のレベルまで追求されていること。

いらないものを全てそぎ落とすことは、
多くの機能を実装することより難しく、真価が問われること。


中途半端な情報通になるくらいなら、
徹底的に"素人目線"でいることを目指すほうが成功の近道かもしれない。


●「サービスの送り手というのは、知らず知らずのうちに、
 お客さまやユーザーに甘えてしまうんです。
 送り手側が、"このくらいはお客さまにできて当たり前だよね"
 ということを、言語化されないレベルで思ってしまう。
 お客さまからすれば、それはとんでもない傲慢に映っているんです。
 実は、自分たちが思っている以上に、サービスの送り手は傲慢だし、
 お客さまに甘えている。それが多くの場合、現実だと思うんです。

 
●「実はかつては、材料をデータベース化させたこともあったんです。
 わざわざ材料名を入力するより、そのほうが簡単なんじゃないかと。
 (中略)システムの作り手からすると、データベース化のほうが
 絶対に便利だと思い込んでしまう。
 実際そういうフォーマットを作っているサイトは多い。(中略)
 自分でやってみると、入力させらている、みたいな気持ちになるし、
 意外に手間がかかる。
 こうしたプロセスを踏んで、社内で出てきたゴールのイメージが、
 "小説を書くみたいにレシピを作る"だったんです。

●「安易にユーザーに行為を求めたり、説明やマニュアルを読んでください、
 FAQをご参照ください、みたいなことが、実は僕は大嫌いなんです。(後略)」

 佐野(代表取締役)の好きな言葉に、優れたドアノブは押せばいいか
 引けばいいかがすぐにわかる
、がある。

 (中略)

 「優れたものは、無言語なんです。説明が必要なサービスというのは、
 やはりレベルが低い。
(中略)美しさを重視したから説明ありで我慢しろ、
 こっちが大変だから説明させろ、というのは極めて傲慢な考え方なんです。
 何も説明なしで機能が果たせる。それを目指さなければならない。
 僕はいつもそう思ってます。

●「なんでも始めるのは大変です。
 そんな簡単にサービスや事業は立ち上がらない。

 でもそこに確固たる目的や目標、使命感があったならば、社員も頑張れる。
 やり遂げようという意欲もわく。
 事業運営には忘れてはならない視点だと思っています。」

●「これは起業するときにも思ったことだったんですが、
 日本って餓死する人はほとんどいないんです。豊かな国ですから。
 こんなラッキーな国に生まれたのに、その幸運を使わない手はない

 ということです。

●小竹にはひとつの理想がある。それは、東京ディズニーランドだ。
 あれほど訪れた人が満足するテーマパークはまず他にないだろう。
 だが実は個々のアトラクションやレストランには、
 スポンサーがついているのだ。
 しかし、ユーザーはそれを自然に受け止めている。 
 広告もひとつのコンテンツに、楽しみを提供しているものになっているのだ。
 「ディズニーランドみたいな場所がインターネット内に作れたら。 
 いつもそう考えています。」

 

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