本気で戦うことの意味

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遠い日の記憶

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もう一人のアニキ


私には血のつながった兄が一人いるが、
もう一人、兄のような存在の人がいる。


20代の頃、新規創刊の情報誌を一緒に立ち上げた人。


役職も社歴も彼のほうがうんと上だったが、
女性向けの美容メディアだったことから、
私が商品企画、彼が営業戦略策定という役割分担だった。


「史さんの理想を、俺がカタチ(事業)にするよ。」


プライベートでも一生言われないような(笑)、
そんな素敵なことを言ってくれる人だった。



彼は営業だけでなく、商品面でも色々な企画を考えては、
「史さん、こんな企画考えたんだけどどうかな?」
と言って持って来てくれた。


ところがこれが、、、どうにもダサい。。


ロマンチストだから、
女性を、「現実の女性」以上に「女性らしく」捉えていて、
過剰に"プリティ"で、どこか"昭和っぽい"のだ(笑)。

「今時の女性はそんなの求めてませんから。」

そう言って、私はいつも冷たくあしらっていた(笑)。



それでも彼は、最初の約束通り、最後まで私を助けてくれた。


当時その会社には女性向けメディアの実績がなく、
創刊までに上層部でも意思決定が二転三転したが、
どんな混乱の最中にも、いつも女性である私の意見を最優先に聞いてくれ、
経営陣とも戦ってくれた。


帰る方面が一緒だったので、毎日一緒に終電に飛び乗り、
乗り換えのわずかの時間で屋台のラーメンを食べながら
理想の媒体について熱く語り合った。
(青春だなぁ・・・(笑))


それはまさに男と女を超えた「戦友」だった。


諦めない人

・・・結局その媒体は、一年弱で廃刊となり、
ネットメディアへ移行するタイミングで私は退社してしまった。


それでも彼は、女性の『理想』のメディアを実現することを諦めなかった。


しばらくしてネットメディアも事業撤退になったが、
その後別の会社に移って、彼は長年自分で温めていた企画である
化粧品の携帯サイトを立ち上げた。


久しぶりに会ったとき、

「史さんにいつも『わかってない』って叱られてた俺のほうが、
なんでずっと美容の仕事をしてるんだろうね」

そう言って笑っていた。


そのときに私は改めて彼の凄さを知った。


様々な事情があったにせよ、
私が2年弱で諦めてしまった女性の『理想』のメディアを、
結局彼は5年以上追い求め続けたのだった・・・


そして、今

一年程前に化粧品のサイトを立ち上げた会社を辞め、
そこで一応、彼の美容業界への挑戦は終了した。


昨日約一年振りに食事をしたのだが、
今は古い知人と一緒に会社をやっているそうだ。


相変わらずアイデアマンで、色々な事業を試行錯誤しながら、
会社という枠組みに縛られず、あちこちに仲間を作って、
楽しそうに仕事をしていた。

ゆくゆくは地元に根ざした事業をやりたいという。


食事を終えて、別れ際、

「困ったことがあったらいつでも連絡するんだよ。」

そう言って改札に消える笑顔は、
6年前の帰り道とまったく変わっていなかった。。


仕事を通して見えるもの

こういう一つ一つの大切な出会いと思い出が、
明日からの私を勇気付づけてくれる。


プライベートの友情ももちろん大切だが、
本気で仕事に取り組んだ者同士でしか分かち合えない深い絆もある。

恋愛関係以外で、激しく意見をぶつけ合い、励まし合い、助け合うなんて、
大人になってからそうそうあるものではないから。。


人は限界を超えたときにこそ本性を見せるものだ。


逆に言えば、その「限界」の向こう側で信頼し合えた人間関係は
何があっても壊れない。


だから、

「またいつか一緒に私たちの理想のメディアを作りましょうね!」

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