
今週末、私は誕生日を迎える。
この歳は私にとって特別な歳だ。
実現したいことが沢山ある。
そんな新しい歳になる自分に、この言葉を贈りたい。
人生には、必ず何度か波が訪れる。
それは、それまでに蓄えた力を試すための波でもあり、
あなたがそれまでに積みあげてきたものが、
具現化に向かうために必要な波である。もしあなたが、ひとつの目的に向かって充分な準備をしていれば、
あなたはイケてるサーファーのように、見事にその波を乗りこなす。
だが、準備が足りなければ、あなたは押し寄せる波に溺れもがき、
自分の力のなさを見せ付けられる。それは、あなたのそれまでの生き様が、
どのようなものであったかによって決まるのだ。
そこに、運や偶然など存在しない。そんな、人生の中の限られたチャンスを活かせるよう、
人間力を鍛え、いざという時に備えるのだ。
一度去った波は、もう二度と戻ってはこない。
再び波が来ることはあるだろうが、同じ波は二度と来ない。
いつでも波に乗れる自分であれ。
(伊藤美海著「ネガティブを愛する生き方」より)
20代の一時期サーフィンに夢中になった。
飽きっぽくも凝り性の私は、毎週末九十九里に通い
頭の芯からしびれるような極寒の1月の海にも入ったりしていた。
サーフィンは、人間の力だけで上達できるスポーツではない。
遥かかなたに発生する小さな波の源(うねり)を見付け、
海の持つ偉大なエネルギーと一体になるという、
そんな独特の世界観が好きだった。
しかも、一つの波に乗れるのは、
一番初めにその波をつかまえた人、一人だけ。
どんなにいい波でも、自分が二番手なら
速やかに相手に進路を譲らなければならない。
サーフィンにはあらゆる人生哲学が凝縮されている気がした。
いい波をどこまでも追いかけて、自然をリスペクトし、
一歩間違えれば命をも落とす「リスク」に果敢に立ち向かっていく
サーファーという人種も好きだった。
ところが私には、サーファーとして致命的な課題があった。
「水が恐い」のだ。
そもそも泳げないし(笑)。
それでも度胸に任せて、最初は無謀に波に向かって行ったが、
ある日、台風が接近中の御宿海岸で波に巻かれて海底に頭から激突。
肩の靭帯を損傷する全治3ヶ月の怪我を負った。
それ以来、もう恐くて恐くて、波に向かって行けなくなった。
まずは泳げるようになろうと水泳教室に通ったりもしたが、
海に出るとビビってしまってタイミングを外し、余計巻かれてボロボロになる。
同じ頃に始めたサーファー仲間がどんどん上達していくのを尻目に、
不恰好にもがく自分の姿に、気持ちが先に耐えられなくなり、
次第に海から足が遠のいた。
海が大好きだっただけに、その後数年は挫折感に苛まれ、
サーフィンのことが話題に出るだけで心が苦しくなる程だった。
今でもよく大波に追いかけられる夢を見る。
そうそう。
結局、ショートボードをかっこよく乗りこないし
サーフィンを心から楽しめるまでには上達できなかった私だが、
サーフィンが私の人生に与えてくれた功績は大きい。
あまりにサーフィンセンスがない私は、
当時、気象の本やサーフィン雑誌を読みあさっていた。
その中で、一番気に入っていた雑誌の出版社が人材募集をしていたのを見て、
当時自分の進むべき道を模索していた私は、「これだ!」と思って応募した。
安直な動機だけど、
それが私の生まれて初めての「転職活動」だった。
当時システム会社に勤務していた私は、編集の経験などあるはずもなく、
そんな人気職種はもちろん書類選考であっさり不合格。
だが、それをきっかけにメディアの会社に転職することが目標になり、
私の長くて苦しい転職活動が始まった。
受けても受けても、未経験なので書類すら通らない。
次第に受ける会社の幅を無尽蔵に拡げ、
「何でもやりますから入れてください」というようなことを面接で言うようになった。
そうするとますます受からない。
半年後、50社以上受けてもなお転職先が見つからず、
完全に行き詰ったとき、
たまたま友人を介して、最初に受けたサーフィン雑誌の出版社で
新規事業の責任者をやっているNさんという男性にお会いした。
「例え経験がなくても、『何でもやります』なんて言う人間はいらない。
自分のやりたいことをはっきりと示すことだよ。」
その一言でようやく自分を取り戻し、
その直後に面接を受けたのが転職先となった会社で、
「海外旅行情報誌創刊メンバー」の募集だった。
上場企業の新規事業プロジェクトということで非常に倍率も高く、
未経験の部分を何度突っ込まれたが
私はNさんのアドバイス通り決して自分の意見を曲げなかった。
そうしたら、面接官で、その後上司となる取締役の方に
「キミの話は全くブレてない!ぜひ一緒に仕事をしよう。」
そう言われて、なんと、その場で内定をいただいた。
・・・そして、これが私の、現在にも及ぶ「事業立上げ人生」の
記念すべきスタートの瞬間でもあった。
更にその3年後、
偶然にも自分が使っていた携帯の波情報サイトを運営する会社に転職し、
サーフィン大会などのリアルイベントの手伝いをする機会にも恵まれ、
サーフィンメディアの仕事をするという当初の夢は、
一応、形を変えて結果的に叶った形となった。
自分の挫折感から疎遠になってしまったサーファー仲間とも
サイト主催のアワードのパーティ会場で偶然再会したりした。
私の初めての転職に貴重なアドバイスをくださったNさんとお会いしたのは
その一度きりだったが、
その後しばらくして、Nさんがお亡くなりになったと友人から伝え聞いた。
まだ30代のお若い方だったのに・・・
理由はよくわからないし、特に聞いてもいない。
Nさんの人生の中で、私はほんの一瞬すれ違っただけの本当に小さな存在だ。
でも、私はNさんの一言のお陰で、確かに新しい人生が開かれたと思う。
こういうことがあるから、人のご縁というのは本当に不思議で
本当にありがたいものだと心から思う。
「また相談あったらいつでも電話して。」
そう言って教えてくれたNさんの携帯番号は、
今でも私のお守りとして、携帯メモリの中に大切刻まれている。
これから訪れる人生の波からは絶対に逃げないように・・・
そして、今度こそ「波」をうまく乗りこなし、自分の人生を心から楽しめるように・・・
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