
前職で起業支援事業の立上げをしていたときに
購入した書籍。
400ページ近い長編で、
ベンチャー企業のビジネスモデル構築からファイナンスの手法、
危機への対応までを解説したもの。
早稲田大学アントレプレヌール研究会の編纂だけあって、
実用書というよりは、学術的な表現が多いが、
この手の書籍の中では、理解しやすく非常に読みやすい本だ。
やはり私が気になるのは、起業大国である米国と、
我が国日本の「起業」に対する、個人的、また社会的な考え方や
評価の違いだ。
●米国経済の再生は、既存大企業のリストラクチャリングを
中心とする企業確信による復活と、政府が政策的に進めた
ベンチャー企業輩出による牽引力という2つの輪が
両輪とも力強く回転していることにある。●米国における開業率は15.9%(1991年~94年)で、
非常に高い(一方で廃業率も13.6%であるから
多産多死であるが、純増は2.3%もある)。●起業家への支援は個人が開業を決意するもっと以前の段階、
つまり成人に達する前からはじまっているし、
それが効果的であるということだ。●また、支援側も、民間企業、NPO、官、学と多くの期間が
連携することによって行われていることも特徴的である。
●米国では、幼稚園児から高校生まで自立を促す仕組みがあり、
その中で、1919年、ある大企業の経営者によって設立された
NPOであるジュニア・アチーブメントが活動している。
このNPOは、全米に200ほどある支部を通じて、
経済教育プログラムを提供しており、受講生は、全米で300万人にも上る。
プログラムは、各学年に応じて提供され、実際に指導するのは、
地域に住むボランティアのビジネスマンや経営者である。
①"フロンティア精神""アメリカンドリーム"という言葉に代表されるように、
新しいことに挑戦した人が、既存の組織の中での成功者より
高く評価されるという価値観がある。②もともと個人主義の思想が強く、個の確立が行われ、
アイデンティティの発揮の1つとして、ベンチャー企業の起業が
位置づけられている。③リスクに対しては、挑戦する対象という考えが強く、また運悪く
失敗した敗者が再挑戦できるような制度(破産法チャプターイレブン)
もあり、セーフティネットがある。
新しいことに挑戦した人が、既存の組織の中での成功者より
高く評価されるという価値観・・・
この点においては、私の前世はアメリカ人なんじゃないかとさえ思う。
なんの秩序のない世界に、
一から新しい秩序を生み出すことへの喜び。。
(米国では)
本当に能力のある若者は、起業コースへ向かう可能性がある。
社会的に何か意味のあることを成し遂げようとする創造的な
精神の働きが資本主義を作ったのだ。個人それぞれは、
自分のため、お金のためと思っても、総体として社会的に
意義があるように導く装置、それが自由市場であった。
つまり、資本主義経済を健全に発展させるためには、
企業が勃興と衰退を繰り返しながら切磋琢磨し、
新しい市場を創り上げていくという好循環が必要不可欠だ。
日本では、なんらかの意思決定が行われる際に
旧来の伝統やしきたりを重視する傾向が強く、
「出る杭は打たれる」という格言にもあるように、
新しいことに取り組む際のハードルは相対的に高くなっている。
この著書では、その思考を持つためには
子供の頃からの教育が重要だという。
また、企業内ベンチャーも育っていない。一流大学を卒業して、
一流企業でラクな、安定した人生を送ることを夢見ている学生には、
起業のエネルギーはない。
人生には、いろいろな選択肢があり、自分で起業することが、
選択肢の1つとして考えられるようになるためには、欧米のように、
小学生や中学生のうちから自分で会社を起こすことを教え、
起業マインドを高める必要があるのではないか。
(中略)
偏差値教育も変えなければならないが、自立心を育て、
信頼される人間を養成することが先決であろう。
すぐに成果を出すのは難しい問題だが、
私自身、企業内ベンチャーを担う者として確かな痕跡を
残したいと思う。
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