【書評52】コトラーを読む

酒井光雄著

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マーケティングの大家であるコトラーの考え方について、
そのエッセンスを抽出して解説。

「ベトナム」というブランド

ブランドとは何か

久しぶりに基本的なマーケティング解説書を読んでいて
思い出したことがある。

6年程前だろうか。
初めてメディアの商品企画を任されたとき、
CMなどお手伝いいただいていたADKの担当者に
「ブランディング」についてレクチャーしてもらったことがある。

そのときの担当者は、多分今の私と同じ歳くらいの
女性マーケターの方だったが

ブランドとは、企業と顧客を結ぶ心理的絆である

と教えてくれた。

「ブランド」の定義については、様々な書籍で様々に解説しているが、
私は今もこの「絆」という考え方を大事にしている。


原料に人件費などのコストをたして、
すべての商品価値が決まるのであれば、
そもそも「ブランディング」などという考え方は存在しない。

しかし、現実はそうではない。

そこに「ブランド」という心理的な絆があるから、
顧客は商品そのものの価値以上の対価を支払うのだ。

つまり、(誤解を恐れずに言うならば)
顧客との間に強い絆が築ける企業は、
どんな高額な価格でもその商品を売りさばくことができる。


ここにビジネスの面白さがあると私は思う。


「ベトナム」との心理的絆

私が手がけるベトナムビジネスでは、
やはりベトナム人の「人件費の安さ」というところに議論が集中しやすい。

コストが安いからベトナムでオフショア開発をする
コストが安いからベトナム人エンジニアを採用する

確かにこれは、一つの明確なメリットだ。

しかし、本当にそれだけでいいのだろうか?


コスト削減だけを期待してベトナム進出を果たしたら、
いずれベトナムの経済発展と共に必ず人件費は高騰する。

まさに今の中国がそうだ。

この10年でスキルと実績を着実に積み重ねてきた中国人のコストは、
もはや日本人と変わらないレベルにまで上がってきている。

そして今になって多くの日本企業が慌てている。

コスト以外の面で、彼らを本当の意味でのビジネスパートナーとして
育てあげてきたといえるのだろうかと。


私はベトナムのメリットは、決して人件費の安さだけではないと
思っている。

国民性、スキル、チームワーク、適正、仕事ぶり、
そして経済発展などの将来性を含めたすべての面で、
これほどまでに、
近い将来日本にとって最大の良きパートナーとなる素質を備えた国が
ほかにあるだろうか。

目先のコスト削減だけではなくて、ベトナムの真の価値、
ベトナム人のポテンシャルに目を向けて欲しい。

開発受託でもなく、人材派遣でもなく、

日本企業とベトナムを結ぶ心理的絆

一つでも多くの日本企業にそれを感じていただけるよう
力を尽くすことこそが、
私のこの事業における最大のミッションだと思っている。


フィリップ・コトラー

フィリップ・コトラー(Philip Kotler、1931年 - )は、アメリカ合衆国の経営学者。
シカゴ大学で修士号を、マサチューセッツ工科大学で博士号を取得。
ノースウェスタン大学ケロッグ・スクール教授。

現代マーケティングの第一人者として知られ、
顧客のセグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングを説くSTP理論や、
マーケティングの4Pにpeople・processes・physical evidenceを加えた
7P理論などが有名。

IBM、AT&T、シェル、GE、フォード、メルク、ミシュラン、デュポン、
バンク・オブ・アメリカ、ハネウェルなど名だたる企業で、
マーケティングコンサルタントとしても活躍。