【書評51】経営学

小倉昌男著

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クロネコヤマトの生みの親、二代目で継いだ大和運輸を
現在の規模に育て上げた小倉昌男氏による名著。

経営の教科書としても名高い。

こういう偉大な経営者の本を読むとき私はいつも思うのだが、
まったくと言っていいほど奇をてらった奇抜さがなくて、
ティピカルな経営方針を、謙虚な姿勢でただ淡々と貫いている。
そして、常にお客様と社員という「人」を最優先に考えている。

あまりにも当たり前のことを、まっすぐな姿勢で、
周囲の声に動じることなく
極限まで徹底する努力を怠らない。
そしてどんな逆風にも諦めない。


でもそれができるって実は一番難しいことなのかもしれない。


現在のヤマト運輸の従業員数を見て驚いた。

134,121名

宅急便という名前すらなかった時代に、
翌日配送なんて、誰も実現できるとすら思わなかった時代に、
新しいサービスを生み出し、徹底し、
これだけの雇用を実現している。

この本が書かれたのは10年近く前になるが、
ECの発展と共に、コレクトサービス(通販商品の代金回収)を
フックにまた新しい飛躍を遂げようとしている様子が終盤描かれている。

荷物の配達というビジネスモデル自体は昔からあるものだが、
そこに新たな価値を絶え間なく吹き込み続ける経営者の姿勢に
ビジネスの神髄を見た気がした。

著者紹介

1924年12月13日東京生まれ。1947年東京大学経済学部卒業。
1948年、父康臣の経営する大和運輸(現ヤマト運輸)に入社、
1961年取締役、1971年社長、1987年会長に就任。
1991年取締役相談役に就くも、1993年、会社の危機を唱え会長に復帰。
宅急便の開発で運輸省や郵政省と闘った経験から、
積極的な規制緩和の"実行者"としても知られ、行政改革審議会などの
委員も努めた。
1995年、再び会長を退任、ヤマト運輸の経営から一切身を引く。
ヤマト福祉財団の理事長職に専念し、無報酬で障害者の自立支援に当たる。
2005年6月逝去。

「サービスが先、利益は後」

●コストをかけても、質の高いサービスを提供すれば、利用者は必ず増える。

●コストが高いから特急料金があるのではなく、「より早い」という便益の対価として
 特急料金があるのである。

●あらゆる場所のユーザーに同一サービスを提供できるかというサービスの
 「平準化」は、他社との差別化を図るうえで非常に重要な問題である。
 (中略)
 過疎地の配達など一日くらい遅れても構わないだろうと言う人がいる。
 日本中の運送業者は皆そう思っている。荷主もそう思っている人が多い。
 運輸省もそう思っている。だが、私はそうは思わない。

●車体に「翌日配達」と書いて走り回ったことは、宣伝のためでもあったが、
 むしろヤマト運輸の社員に、必ず翌日配達してみせるという、決意表明を
 うながすものであった。

●宅急便を始めた当初、宅急便は郵便小包とどう違うかとよく聞かれた。
 宅急便も郵便小包も基本的には、集配作業、行き先別の仕分け作業、
 輸送作業という具体に、分業体制で仕事を進めていることに違いはない。
 ただ、宅急便を扱うヤマトの社員は、目的をはっきり理解していて、
 その達成に責任を負っている。そこが違うと私は思う。

●攻めの経営の神髄は需要をつくり出すところにある。需要はあるものではなく、
 つくるものである。

●どのような時代であっても、経営者に必要なことは倫理感であり、
 利用者に対する使命感であると確信している。