
週末、映画を観にいった。
激動の1960年代の世相、そして戦争や自らの恋愛に翻弄される
若者たちの青春をビートルズナンバーで綴った美しい映像の作品だった。
ビートルズの登場とその世界的ブームは、ベトナム戦争と重なり合う。
1960年のベトナム戦争がアメリカの若者たちに与える微妙な真理。
ビートルズ解散後のジョン・レノンも
解散後活動拠点を置いていたアメリカにおいて反戦活動を行っていた。
営業中、ベトナム戦争の話題になることはよくある。
この戦争が終わって33年。
ベトナムと日本の戦後復興のペースと若干違うのは、
終戦から11年後の1986年のドイモイ政策を経て
ベトナムは本格的な経済成長へと向かっていったためである。
とはいえ、この戦争がベトナムの近代歴史上最大の
転換点となっていることは間違いない。
また、ベトナムの人口の約60%を占める30歳以下の層は、
まさにこの戦乱を生き残った両親から生まれた戦後世代。
彼らが成長し、今のベトナムの経済成長を支えている。
「ライオン・キング」の演出家としても知られる「フリーダ」のジュリー・テイモア監督が、全編ビートルズのナンバーで構成したオリジナルミュージカル。1960年代、父を探しにリバプールからアメリカに渡ったジュードは、カウンターカルチャーやミュージシャンとの刺激的な生活に出会い、親友マックスの妹ルーシーと恋に落ちるが、ベトナム戦争の激化で仲間たちはバラバラになっていく......。U2のボノ、サルマ・ハエックらのカメオ出演も話題。

"I Want You"は若者に向かって徴兵を促す歌と化し、ベトナムの奥地で自由の女神を担いで息も絶え絶えに行進する兵士たちに"She's So Heavy"がかぶさる。愛がこわれ失意のジュードと戦地で傷つくマックスの映像が交錯し、"Strawberry Fields Forever"に乗せて真っ赤なイチゴに血と死のイメージが託される......。そんなふくよかなイマジネーションがちりばめられ、あらゆる青春の局面を語るにふさわしいビートルズの詞の数々に改めて驚かされながら、33のピースを組み合わせて普遍的な心の叫びを描ききるテイモア演出には、感服するしかない。決して'60年代の懐メロでは終わらない。20世紀の青春のきらめきは、憔悴しきった今という時代に、確かに乱反射している。