【書評】新時代の中小企業金融~貸出手法の再構築に向けて~

小野有人著

41PStETfpeL__SS500_.jpg

日本では、資産規模が小さい企業ほど自己資本比率が 低い傾向がみられる。

※コーポレートガバナンスの観点からみた場合、借入比率が高い(自己資本比率が低い)ことは、事業が失敗した際に借り手自身が失う資本(自己資本)が少ないため、借り手のリスク選好が高まり、無理な事業拡張を招きやすいというマイナス面と、資金調達面で借入企業の大きなステークホルダーとなる金融機関の発言力が高まり、企業経営に規律がもたらされるというプラス面の両方があると考えられる。

これに対して、米国では、中小企業の自己資本比率は大企業とほぼ
同水準である。

(中略)

一方、欧州についてみると、フランスでは中小企業の自己資本比率が
中堅・大企業よりも高くなっており、やはり中小企業が外部資金を
調達するためには、十分な水準の自己資本が必要とされることがみてとれる。

他方で、わが国同様、銀行中心の金融システムといわれるドイツでは、
中小企業の自己資本比率が中堅・大企業よりも低くなっている。

わが国中小企業の資本基盤がき弱である背景には、銀行貸出の一部が実質的に「擬似エクイティ」として機能してきたことがある。ただし、銀行からみれば、貸出からの元利金収入は借入企業の事業が好調なときでも一定であり、株式のような利得(配当や株式の実質価値)の増大は期待できない。

(中略)

なお米国の中小企業の事故資本率が高い点については、しばしばベンチャーキャピタルやエンジェル投資家によるリスク性投資が活発だからという議論が聞かれる。しかし、正確な統計はないものの、米国でも、ITやバイオなどの一部業種の高成長企業を除けば、多くの中小企業では経営者自らによる出資が過半数を占めており、自己資本は経営者による出資と内部留保が中心となっている。たとえば、FRBのSSBF統計によれば、米国中小企業のうち、オーナーが経営者を兼ねている企業の比率は9割以上にのぼっている。また、Berger and Udellは、
米国中小企業の自己資本のうち、63%はオーナー経営者自身の
持分であり、エンジェルによる出資は7%、ベンチャーキャピタルは4%に
すぎないと推定している。


私はこの手の本が大好きだ。

以前、起業支援事業の立ち上げをやっていたことがある。
ビジネスプランコンテストを開催し、優秀な起業家に投資、
インキュベーションしようというものだ。

私は、将来成長しそうなビジネスプランを持つ起業家の
ファインディングと事業計画立案のコンサルティングを行っていた。

出資の比率は、ビジネスプランや起業家によってケースバイケースだが、
優秀な起業家ほど、当然出資の比率を上げていく戦略だった。


あるとき福岡の起業支援企業の社長さんから
アライアンスのお問合せをいただいてお会いしたことがある。

彼は、25歳くらいの若さだったが、
大学在学中よりリクルートでアルバイトをしていて
卒業後すぐに起業したそうだ。

ところが、信用がないため銀行がお金を貸してくれなくて、
資金集めには相当苦労してきたらしく、その年齢には見合わない
風格を持っていた。

その頃の苦い経験とそこから得たノウハウを活かして、
信頼もファイナンスの知識もない若い起業家たちに、
融資を基本としたコンサルティングをしているという。
自分の力で銀行から「お金を借りること」と「返すこと」を教えることこそが
起業支援のあるべき姿だというのが彼なりの持論だった。

その彼に
「出資をして子会社化するのは本当の起業支援じゃない。
御社は、金儲けのための操り人形を作っているだけだ。」
と商談が始まるなり激しく非難された。

操り人形・・・

その言葉がやけに耳について何日も離れなかった。

なぜ彼があそこまで非難したのかはよくわからないが、
それから私は、日本における起業支援とはいったい何なのか、
ということについてずっと考え続けいた。

この話は長くなるのでまたの機会に。。